題目:車輪角速度を入力とする四輪オムニホイールロボットの非線形モデル予測制御
研究目的:近年,車体の向きを変えることなく全方向移動が可能なオムニホイールロボットの自動制御が注目されている.オムニホイールは,車輪円周上に回転軸と直行する受動回転ローラを備え,接触点での横滑りを許容することで全方向移動を可能とするホイールである.この特性から,オムニホイールロボットは精密な姿勢制御や軌道調整が求められる競技ロボットや研究用途を中心に利用が広がっている.しかし,そのシステムモデルは強い非線形性を有しており,制御系設計が困難であることが知られている.先行研究では,平面における四輪オムニホイールロボットの軌道追従問題に対して,最適フィードバック制御手法の一つである非線形モデル予測制御(NMPC: Nonlinear Model Predictive Control)に基づく制御手法が提案され,その有効性が確認されている.同研究では,機体固定座標系における速度を直接操作できるものとして制御系設計が行われているが,車輪のモータ角速度を操作入力として考える方が実用的である.そこで,本研究では,車輪角速度を入力とする四輪オムニホイールロボットの非線形システムモデルに対して,NMPCに基づく制御系設計法を考案し,数値シミュレーションによりその有効性を確認することを目的とする.
題目:6自由度運動を考慮した航空機に対するUnscented Kalman Filterを用いた状態推定
研究目的:近年, 有人航空機における主な事故の要因として,操作ミスなどの人的要因が挙げられる.事故の抑制を目的に,航空機の自動飛行制御技術の開発が注目されている.先行研究では,航空機を目標軌道に追従させる制御問題に対する非線形モデル予測制御(NMPC: Nonlinear Model Predictive Control)に基づく制御手法が提案され,その有効性が確認されている.しかし,先行研究では,全ての状態変数がセンサによって計測されると仮定されており,センサの故障およびノイズの影響が考慮されていない.そのため,実機への適用時には,制御性能の劣化に伴う事故が懸念される.解決手法として,カルマンフィルタに基づく状態推定オブザーバが挙げられる.しかし,カルマンフィルタは線形なシステムモデルにしか適用できないため,非線形なシステムモデルに対してはUnscented Kalman Filter(UKF)などの非線形カルマンフィルタが用いられる.そこで,本研究では一部の状態変数がセンサによって計測されない6自由度運動を考慮した航空機の非線形なシステムモデルに対して,UKFに基づく状態推定法を提案し,数値シミュレーションにより,その提案手法の有効性を確認することを目的とする.
題目:CNNを用いたジャンボタニシの卵画像の識別におけるFine-tuningの有効性
研究目的:近年,稲作における食害が問題視されている.その中でもジャンボタニシによる苗の食害は米の生産量を低下させる原因のひとつであり,駆除作業による労働負担の増加も問題として挙げられる.このような背景から,画像認識技術を活用した駆除作業の効率化が求められており,研究が進められている.先行研究では,人の目の開・閉眼を対象とした画像認識による識別が行われている.先行研究では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)の一種であるVGG16に対する転移学習の一種であるFine-tuningを適用することによって,人の目の開・閉眼の識別精度が向上することが確認されている.しかし,先行研究では,撮影対象の目からカメラまでの距離が近距離に固定されていたため,Fine-tuning の効果が遠距離の撮影においても有効であるかの検証は課題として考えられる.そこで,本研究では,ジャンボタニシの卵からカメラまでの撮影距離が異なる画像に対し,VGG16を用いて撮影距離の違いおよびFine-tuningの有無による識別精度を比較することを目的とする.
題目:画像によるプリント基板の不良品識別におけるEfficientNet-B0とResNet18の性能評価
研究目的:近年,電子機器の小型化・高性能化に伴い,製造工程における品質保証の重要性が増加している.電子機器の中心部であるプリント基板の品質は,製品全体の信頼性に大きく影響するため,欠陥検出の高精度化が強く求められている.従来の欠陥検出は目視に依存することから結果のばらつきや量産時の作業負荷の増大が課題とされている.こうした背景から,深層学習に基づく画像認識技術による欠陥検査の自動化を目指す研究が行われている.先行研究では,プリント基板の画像を複数に分割し,ResNet18を用いて局所領域の特徴量抽出することで欠陥検出を行う手法が提案されている.しかし,画像を分割する場合においては,基板全体におけるパターン構造や配置情報が学習に反映されにくいという課題がある.そこで,全体画像に対する入力解像度および計算量の増大に対応するため,分類性能と計算効率を両立し得るモデルとしてEfficientNetが注目されている.本研究では,基板の全体画像を入力としてEfficientNet-B0を用いたプリント基板の欠陥識別手法を提案し,従来手法と比較を行うことを目的とする.
題目:質量変化を考慮した再使用ロケットに対するUnscented Kalman Filterに基づく状態推定
研究目的:近年,コスト削減を目的とした再使用ロケットが注目されている.先行研究では,再使用ロケットの着陸誘導制御問題に対して非線形モデル予測制御に基づく制御手法が提案され,提案手法の有効性が確認されている.しかし,実機においてはシステムの一部の状態変数が計測されない場合が想定される.この場合,カルマンフィルタといった状態推定手法を併用することが有効であると知られている.特に,非線形システムに対する有効な状態推定手法の一つとして,Unscented Kalman Filter(UKF)が挙げられる.以上の背景より,本研究では,質量変化を考慮した再使用ロケットに対してUKFに基づく状態推定手法を考案する.さらに,数値シミュレーションにより提案手法の有効性を確認することを目的とする.
題目:メカナムクローラの砂地における横移動性能の向上に向けた受動回転ローラの性能評価
研究目的:近年,地震などの自然災害やテロの現場における救助活動においてレスキューロボットの活用が進んでいる.2024年に発生した能登半島地震においても,ロボットを用いた事例が報告されている.救助時間の短縮や,不整地,狭隘区間での活動には,段差における走破性能および,全方向に移動が可能な機構を備えることが望ましい.段差走破にはクローラが有効であり,全方向移動が可能な救助機構としてオムニホイールおよびメカナムホイールが挙げられる.先行研究ではクローラとメカナムホイールを組み合わせた,全方向移動が可能な移動機構「メカナムクローラ」が提案されているが,砂地上における横移動性能に課題を有している.その原因として,砂地環境では固い土壌の上に砂が堆積しており,受動回転ローラが固い土壌に直接到達できず,十分なグリップ力を得られていないためであると考えられる.そこで,本研究では,通常の受動回転ローラに加えて,スパイクピンを取り付けた「スパイクローラ」を3種類試作した.それぞれのローラを用いて実験を行い,スパイクの有無が砂地における横移動性能に及ぼす影響を比較・評価することを目的とする.
題目:天候を考慮した鉄道車両の滑走防止ブレーキに対する非線形切換型リアプノフ制御
研究目的:鉄道業界において,人口減少に伴う人員不足が問題視されており,自動運転技術の導入が進められている.鉄道は公共交通機関であるため,高い安全性が常に求められるが,その実現にはブレーキの制御が必要不可欠である.特に,滑走はブレーキ力が車輪とレール間の粘着力を上回った際に発生し,制動距離の増大や車輪踏面の損傷を引き起こすことで,大きな事故につながる可能性がある.このような背景から,鉄道車両を対象としたブレーキシステムの滑走防止制御に関する研究が注目されている.先行研究では,鉄道車両の滑走防止ブレーキのシステムモデルに対して,リアプノフの安定定理に基づく非線形切替制御則が提案され,その有効性が確認されている.しかし,先行研究では,天候が考慮されておらず,特に雨天時は粘着力が低下するため,滑走状態になりやすいという課題がある.そこで,本研究では,天候によって車輪とレール間の粘着係数が変化することを考慮した鉄道車両の滑走防止ブレーキシステムに対して,リアプノフの安定定理に基づく非線形切替制御則を提案することを目的とする.また,数値シミュレーションにより,その有効性を確認する.
題目:アンケート結果を学習した生成AIデザインによる商品パッケージの購買意欲評価
研究目的:商品パッケージのデザインは依然として人手に依存しており,デザイン品質の向上や開発期間の短縮が課題とされている.近年,生成AIは急速に発展を遂げ,学習データの特徴を適切に反映した自然なデザインを生成するとともに,多様な表現を実現可能な技術へと進化している.このような技術的背景のもと,商品パッケージのデザイン分野において,生成AIを活用したデザイン技術の開発が期待されている.先行研究では,Stable Diffusionの高解像度テキスト条件付き画像生成において,従来版と比較して視覚的な画質および表現品質が大きく向上することが報告されている.一方で,AIにより生成したパッケージデザインが購買意欲に及ぼす影響を定量評価した研究は限定的である.こうした定量評価の不足は,生成AIによるデザインをマーケティング活動に適用する上で,障壁となっていると考えられる.そこで本研究では,エネルギージェルパウチおよびスムージーパウチを対象として,生成AIのデザインと既存製品のデザインに対するアンケート調査を行い,購買意欲について統計的に検証することを目的とする.