2017年度 卒業研究紹介

伊藤 圭亮
題目:鉄道車両の滑走防止ブレーキに対する非線形切替制御
研究目的:一般的に,鉄道車両がブレーキにより減速する際,車輪と路面の粘着力を維持することができず,車輪滑走がしばしば発生する.そのため,車輪滑走によって引き起こされる,制動距離の延伸や車輪路面の損傷などの問題が懸念される.過去の研究では,ブレーキ力によって発生する粘着力のスリップ特性の非線形性を考慮したモデルベースの制御系設計が検討されている.本研究では,鉄道車輪ダイナミクスの非線形モデルに基づいて,鉄道車両の滑走防止ブレーキの実現を目的として,非線形切替制御則を提案する.また,数値シミュレーションにより本提案手法の有効性を確認する.


奥尾 祐希
題目:雑音環境下の悲鳴検知における識別精度の評価
研究目的:悲鳴検知の研究では,音声データからメル周波数ケプストラム係数(MFCC)と呼ばれる特徴量を摘出し,サポートベクターマシン(SVM)と呼ばれる機械学習法に基づいて分類器が作成されるというような悲鳴識別法が考案されている.一般に,1フレームの音声データから抽出されるMFCCは13次元の特徴量データとなっている.過去の研究では,機械学習で用いる学習用サンプルデータの数と,音声データのフレーム数つまり特徴量ベクトルの次元サイズが,識別精度にどのような影響を与えるかが考察されている.しかしながら,過去の研究では,人の話声や機械騒音など環境雑音下での悲鳴検知を想定しておらず,環境雑音が悲鳴検知の識別精度にどのような影響を与えるのかこれまでに考察されていない.本研究では,環境雑音下での悲鳴検知法を考案し,その識別精度の評価を行うことを目的とする.


倉光 佑典
題目:不整地走行ロボットの移動特性と振動特性に及ぼす車輪材質の影響
研究目的:近年,災害が発生した際に,人命救助や調査等を行うロボットの研究開発が注目されている.そのようなロボットに要求される特徴の一つとして,不整地を移動できることが挙げられる.先行研究では,五角形車輪を有する不整地走行ロボットが開発されている.五角形の車輪を複数個連結させて走行する機構が用いられており,不整地における走破性の性能向上を実現している.さらに,車輪材質が走行特性に及ぼす影響が考察されている.しかしながら,先行研究では,傾斜のない不整地の走行特性が考察されているが,傾斜面における走行特性の検証はまだ行われていない.したがって,本研究では,五角形車輪型走行ロボットの車輪材質がアルミとウレタンでの走行時の移動速度ならびに振動特性が整地,不整地および坂道で各々どのように変化するかを明らかにすることを目的とする.


志水 孝至
題目:パルス幅変調制御に基づく磁性液滴の移動制御の特性評価
研究目的:先行研究では,磁性流体の液滴を所望の位置に移動させるための制御技術が考案され,その有効性を確認するための実験装置が開発されている.また,電磁コイルに単純なオンオフ制御を適用した場合,磁性液滴の移動速度には限界があることが示されていた.本研究では,単純なオンオフ制御ではなくパルス幅変調(PWM)制御を適用することにより,磁性液滴の移動速度の限界が緩和されることを示すことを目的とする.具体的には,PWM制御を用いて,電磁コイルへの印加電圧の立ち上がり時間を調整し,その立ち上がり時間と限界移動速度との関係を明らかにし,さらに,磁性液滴の液量と限界移動速度との関係を明らかにすることを目的とする.


馬場 大喜
題目:機械学習に基づく画像識別による異常葉の検知
研究目的:近年,専業農家が減少し,兼業農家が増加する傾向にともない,農業の事業形態が多様化しつつある.そのような背景のもと,IT技術を利用した農業工程の自動化技術への注目が高まっている.農業従事者の労働負担を軽減し,農作物の収穫効率を高めるための植物栽培支援システムを構築することは重要な課題である.本研究では,病害植物の拡大により,農作物の生産性が低下することを防ぐことを目的として,画像認識に基づいて,異常葉を検知する研究課題に焦点を置く.病害植物を早期検知することは,農産業の生産性という観点だけでなく,環境保全という観点からも重要な課題であると考えられる.先行研究では,植物病害の自動診断のために,分光反射特性と光学フィルター画像を用いた自動診断手法が考案されている.一方,本研究では,安価なカメラで撮影された一般的な葉の画像を用いた場合でも,異常葉の検出が可能となる識別手法を考案することを目的とする.


村松 大智
題目:2次事故回避のための非線形モデル予測制御に基づく車両の走行安定化
研究目的:近年,交通事故に関する統計において,多重事故の発生割合が高いことが示されている.多重事故の一例として,ある車両の衝突事故から,その後,複数台の車両衝突事故が引き起こされるケースが挙げられる.この例からもわかるように,多重事故による被害の方が,単一事故に比べて顕著に大きくなることが一般的に考えられる.そこで,単一事故から派生して起こる2次事故を防止するための車両走行の制御技術の開発は重要な課題であると考えられる.上記背景のもと,本研究では,走行車両が衝突により不安定走行状態に陥った場合を想定して,そこから自動走行により,走行を安定化させるための制御系設計手法を提案することを目的とする.この目的を達成するため,本研究では,非線形モデル予測制御と呼ばれる制御手法に基づいて,非線形性を有する車両の走行ダイナミクスを安定化させる手法を考案する. 


田中 智康
題目:粒子画像流速測定による回転速度と容器内水位に起因する流れ場の解析
研究目的:先行研究では,回転速度と容器形状に起因する流れ場の変化が考察されている.本研究では,回転速度と容器形状に加えて容器内の水位の違いによる流れ場への影響を考察することを目的としている.本研究では,先行研究と同様に,流れ場の測定方法として粒子画像流速測定(PIV:Particle Imaging Velocimetry)法を採用する.PIV法は画像解析技術を利用して,流体の複雑な非定常流れの計測技術として開発された.流体中に目印となる微粒子(トレーサー)を混入させて流体運動を可視化し,その微粒子の動きをデジタル画像処理で追跡することにより,流体の速度場の計算が可能になる.